ハロウィン強盗団を退治しろ!-SIDE:金雀

 「おっし!死んだふりでやり過ごすぞ!!」
 そう言ってから、道端に倒れこむ。
 …正直、カッコ悪い。
 「もう見つかってますってば・・・」
 お姉ちゃんがツッコミをいれながら、武器を構える。
 お姉ちゃんに倣って武器を構える。
 安全なら、少しは冗談に付き合ってあげてもいいんだけど…。
 ほら、ボロ雑巾みたいに飛んで行くバカもいるし。

 無駄だと思いながら、一応の抗議をしておこうかな。
 「はとこ、もう付き合いきれないよお」


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 「で、今度のクエストはなんでしたっけ?」
 ローラお姉ちゃんがあさっりとモンスターを片付けながら聞いてくる。
 「バカ、話しかけるな死んだふりだってばれちまうだろう!」
 「ぱぱ…戦闘はもう終わってるよ?」
 「・・・・・・」
 「・・・・・・」
 …何事も無かったかのように立ちあがって服についた泥を払ってる。
 「で、今度のクエストはなんでしたっけ?」
 「強盗団の退治だ。…ふざけた格好の…な。」
 「ふざけた格好?」
 今回の依頼は ぱぱ が持ってきたから、皆…詳細を知らないんだよね。
 「ああ、何でもオバケの扮装してるって話だぜ。
  随分と精巧な扮装らしくてな…結構な被害が出てるって聞いたな。」
 「それは…むしろオバケだと思いますよ?
  アンデッドじゃないんですか?」
 「俺もそれは気になったんで、聞いてみたんだ。
  専門家が言うにはアンデッドだとしたら幾つか疑問点が残るんだとさ。」
 一応、巫女である以上…霊的なモノなら気にかかるし聞いてみようかな。
 「どんな疑問点なの?」
 「専門的すぎて、よく憶えてないぜ…。」
 「あ、そう…。」
 まぁ、予想の範囲内。
 「で、何処に向かってるんですか?」
 「オバケ強盗団が逃げた方向ってのが、1箇所を指してたんだ。
  とりあえず、そこに向かってる。」

 ぱぱ…珍しく、そんな事まで考えてたんだ…!!
 見直したかも…!!!

 あ、そうだ。後で疑問点を解決するために聞いておこっと。
 「ぱぱ、専門家って誰?」
 「ウチのクランマスター。いや、向かう場所まで指定してくれてさぁ。
  俺、大助かりだぜ! 」

 …前言撤回…


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 「さすがに、ちょっと…ピンチって感じ?」
 指定された場所に向かったら、アジトらしき場所だったので偵察…するつもりだったのになぁ…。
 何で、オバケの扮装をした恐い人達に囲まれてるんだろう…?
 「お、お前等を誘き出すためにわざと見つかったのだ!
  本当だぞ!決して転んでしまったわけじゃないぞ!」
 声、裏返ってるし。
 シゲル…てめぇ、後で覚えてろよ…。
 「全部で20人程ですか〜。少し骨が折れそうですね〜。」
 「あ、謝ったら見逃してくれるかな・・・?」
 「もう手遅れだと、思うよ…ぱぱ…。」

 ぱぱにダメ出ししてると、カボチャのオバケになってる男が進み出てきた。
 「なんだぁ、俺達を捕まえに来た…にしちゃあ、随分と少ないじゃねぇか。
  少々餓鬼だが、女もいるし…捕まえ」
 「ウチの娘に何する気だ、てめぇ!!」
 カボチャのオバケは最後まで言い終える事はできなかったみたい。
 だって、ぱぱが…綺麗な右ストレートを顔面に(カボチャを粉砕して!)叩きこんでいたから。
 ぱぱ…かっこいい…!!

 でも、それがきっかけで戦闘になる…と思ったんだけど…。

 「そこまでだ!…紛い物の死に損ない達め!!」
 凛とした声が辺りに響いた。
 声をした方を見たくても、オバケが邪魔でよく見えないんだけど…。
 「あら、レイラさんじゃありませんか〜。」
 とローラお姉ちゃんの暢気な声が聞こえたから、援軍が来たんだとはわかった。

 …なんでココがわかったんだろ?
 「危なそうなら、コレを使うように…って言われてたんですよ〜。」
 と言って、ローラお姉ちゃんが巻物を見せてくれた。
 パッと見だけど、どうやら『 門 』を開くアイテムみたい。
 「一人っぽいだけど、大丈夫なのかなぁ?」
 レイラお姉ちゃんは確かに強いけど…同じ冒険者だから、それほどの差は無いと思う…多分…。

 囲んでるオバケも同じような事を考えてたみたい。
 「なんでぇ、たった一人の騎士様に何ができるってんだ!あぁ!?
  ハロウィンのオバケをナメテっと怪我じゃすまねぇぞ、おぉ!?」
 「一騎討ちならともかく、貴様等のような下郎を相手にそんなわけはない!
  貴様等こそ、本物のアンデッドを舐めていると…怪我では済まんぞ!!」
 レイラお姉ちゃんがそう言うのと同時に、回りから悲鳴が聞こえてきた。

 そこから先の事は、絶対に忘れないと思う。
 オバケがオバケを退治するなんて光景、滅多に見れるものじゃないし。
 …その際に、怪我しない様にぱぱがちゃんと守ってくれたのも知ってる。
 いつも、ヘタレてるけど1番危ない時はきちんと鳩子を守ってくれてる。
 そんな時は最高にカッコイイ。
 多分、ローラお姉ちゃんもシゲルも知ってるだろう。
 だから、ぱぱみたいなダメ人間とパーティー組んでる…んだと思う。
 類は友呼ぶって単語を思い出したけど、気にしない!
 だって、鳩子のぱぱは一人だけだから!


 「…そういえば、シゲルはどこ行ったんだろ?」


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 「たぁ〜すけてぇ〜〜〜…」
 間違って、偽オバケ達と一緒に捕まったシゲルが帰ってきたのは一週間後でした。
 もちろん…ボコボコにした後、こう言うの。
 「茶ぁ買ってこいやぁ!!」

 to be continued?